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パンタナールの樹木 Close-up

パンタナールの樹木

樹木の写真、および下線を引いた語句(葉、花、実など)をクリックすると、別窓で写真が表示されます。(Java Script 使用)

目的・用途による植樹の種類(パラグアイ、チャコ地方)
目的・用途 要件 代表的な樹種 備考・傾向
森林の保全、再生 土地本来の樹木 ケブラッチョアルガロボハトバティンボ、パラトド、パロサント、など 幼木時代を過ぎれば管理が不要、単価が低い、数が多い、強健、長寿命
建材、家具、薬用、香料 土地本来の樹木に準じた適応性、市場での価値、 ケブラッチョ、ラパーチョ、パライソ、アルガロボ、パロアスール、パロサント、シロロウヤシ、など 自生する樹木を切り出す方が簡単なので植林はまれ、ヤシ類を除き盗伐も多い
造園、街路 美しい花や樹形、涼しい木陰、防風、防虫効果 ラパーチョチバトニーム、ダイオウヤシ、ジャカランダ、アルメンドラ・インディアナユーカリボラーチョ、など 日常の管理が可能な範囲で植樹、単価は中程度、基本的に剪定はしない、記念植樹にも向く
果樹園 果実の収穫、経済性 マンゴー、アボカド、グレープフルーツ、オレンジ、グアバ、モリンガ、マカダミア、カシュー、ココヤシ、など 農作物と同様の扱い、収穫を上げるためには強剪定も、森林農業の可能性も
土地本来の樹木:ケブラッチョ 土地本来の樹木:ケブラッチョ
Schinopsis lorentzii

成長は遅いが、心材は赤褐色できわめて硬質。建築、土木、牧場の柵などで、直線性よりも耐用年数が求められる用途に広く利用されている。

かつて、皮なめしに用いるタンニンを取るため、大量に切り出された。
外皮はクロマツに似る。赤い実を着ける。
土地本来の樹木:アルガロボ (1) 土地本来の樹木:アルガロボ (1)
Prosopis affinis

鋭く長い棘(トゲ)を多数持ち、車両のパンクの主要原因になるほど。繁殖力が強く、あまり土質も選ばない。

他の植物が生きられないほど塩分を含む土地は、「アルガロボしかない不毛の地」と呼ばれることがある。トゲが邪魔だからといって、切り倒してはならない。絶滅危惧種である。
土地本来の樹木:アルガロボ (2) 土地本来の樹木:アルガロボ (2)
Prosopis alba

食用にもなる栄養価の高い豆をつけるので、大木になると、多くの獣や鳥たちが好んで集うジャテイ蜂が幹に巣を作ることでも知られる。

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土地本来の樹木:ハトバ 土地本来の樹木:ハトバ
Hymenaea stigonocarpa

湿地でも大木に成長する樹木は少ないが、これはその一つ。パンタナールの洪水と強風によく耐えて、生き残る。
パンタナールに森林を取り戻すのに、これら、土地本来の樹木を混植するとよい。

ハトバの種子

土地本来の樹木:ティンボ 土地本来の樹木:ティンボ
Albizia polyantha

豊水季には、こんな風景が、4~5ヶ月続く。

大抵の樹木は根元が完全に水没してしまうと、長く生きられないが、
ティンボは生きる。水辺には、ヤシとティンボが目立つようになる。

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パロ・サントの群生 土地本来の樹木:パロ・サントの群生
Bursera graveolens

高価な香木や工芸材として密伐採が進み、大木は見つけにくくなった。パロサント・エッセンスは当地の特産品。筋肉痛や関節痛に特に効果があるとされる。

幹の細い木、曲がった木などが、今のところ伐採を免れている。

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山に咲くピンクラパーチョ
ラパーチョ
Tabebuia impetiginosa

山のラパーチョがピンクの花をつけると、山桜が咲いたように見える。パラグアイの日系人たちは、このピンク色のラパーチョを、パラグアイ桜と呼ぶ。都市では公園の彩となる。
木材は固く、色あいも美しい。
(フエルテ・オリンポの山:6月)

ラパーチョには白い花をつける木があり、接木で増やされる。ピンクとも花木として楽しまれる。
チバト(ホウオウボク)
チバト(ホウオウボク)
Delonix regia

村の中央のこのチバトの木。五月に満開を迎えると、はるか遠方からもよく目立つ。
(カトルセ・デ・マジョ)

チバトの
イペーの鮮やかな黄色の花
イペー
Tabebuia chrysantha

春、9月頃に豪華に咲く。ブラジルの国花。パラグアイではパラトドと呼ばれる。
(アスンシオンの街路樹)

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パロ・ボラーチョ パロ・ボラーチョ
Ceiba speciosa

一名、ヨッパライノキ。幹、枝、葉、いずれも極めてみずみずしい。若木の幹や枝にはトゲがある。花はピンク、次いで白が多く、多くの小鳥を引き付ける。紡錘形の大きな実を付け、熟した種子は綿毛に包まれている。
立っているのは、サイト管理人。
(フィラデルフィアの公園にて)
アルメンドラ・インディアナ
アルメンドラ・インディアナ
Terminalia catappa

広場、庭、街路、などで大きな葉をたくさん広げ、日除けとして愛用されている。苛酷な環境のパンタナールでも、植えればよく育つ。
(フィラデルフィアのホテルの庭にて)

アルメンドラ・インディアナの葉と実

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パライソ・ギガンテ
パライソ・ギガンテ
Melia azedarach

センダン(栴檀)と同種か。手がかからず、成長が比較的早く、花も美しい

次のニームの兄弟分。パライソ・ギガンテの実はニームの実よりも球形に近い。

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ニーム
ニーム
Azadirachta indica

虫類の忌避効果をもつ成分がある。街路樹、庭木などに植えられことも多いが、植えるだけでは防虫効果はほとんどない。他の植物と混植して減農薬を図るのにも利用される。パンタナール地方でもよく成育するが、湿潤地は苦手。

白い清楚な花を咲かせ、上のパライソよりも細長型の実をつける。実生または挿し木で簡単に増やせる。熟した種子の寿命は短い。
モリンガの栽培
モリンガ
Moringa oleifera

葉、花、種子、など各部が有用な木。パンタナールに自生はしないが、よく育つので森林農業への活用が研究されている。成長は速いが寿命は比較的短く、この点パパイヤやバナナと似ている。

白い花と細長い莢の実をつける。
種子を一日1~2粒食べると、健康に良いとされる。
実をつけたマンゴーの木
マンゴー
Mangifera属各種

マンゴーは土質を選ぶ。できれば肥沃な川底から客土して植え、堆肥を多用する。手はかかるが報いられる。

マンゴーの収穫

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ユーカリの防風林
ユーカリの防風林
Eucalyptus属各種

水田に隣接する植樹園のユーカリ林。ユーカリは混植には不向きだが、成長が早く、周辺部に一列植えると良い防風林になる。

ユーカリの葉と花

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草原の樹形
草原の樹形

強風をまともに受ける草原で生き残る木は、この樹形が多い。単独の木も、複数の木々が寄り添って立つ場合も、全体としてこの形になる。

酷暑の日中、動物たちの格好の木陰を提供する。

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ヤシの林(航空写真) ヤシの林(航空写真)
Copernicia alba

土地が痩せていて、他の樹木がほとんど見られない中、ヤシ(シロロウヤシ)だけが繁殖する。このような土地は広大だが、農耕には適さない。
水際のヤシは風情があり、実は小粒だが、1本に数千から数万個をもつけ、樹上は鳥たちの大衆食堂の感がある。また水に落ちた実は、パクーやタンバキなどの魚が好んで食べる。エコシステムに、ヤシの役割も欠かせない。
シロロウヤシの林 シロロウヤシの林
Copernicia alba

黒みのあるヤシは、家屋の屋根や壁に、安価な建築材とあいて利用される。白っぽいヤシは、膨大な個体数が繁殖しているが、有効な用途がほとんど開発されていない。いずれも柔らかな頂芽(パルミット)が高級食材として用いられる他、まれに長い幹が炭焼きに利用される。ヤシの炭は空洞が多く、砕けやすいので、農業への利用も研究される。

シロロウヤシの種子
森林を焼く 焼き畑作り

森林を焼くと、一時的に農耕ができるようになる。数年で地力が落ち、放置するとヤシ林になりやすい。貧しい入植者や先住民の集落の近くでは、そのヤシ林もまた焼かれて再利用される。

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機械力を用いて、迅速に放牧地化
牧場作り(1)

画面上半分は、自然林(再生林もしくは原生林)。さまざまな、土地本来の樹木が、密生、混生している。

画面下半分は、牧場である。樹木は取り払われ、牧草地になっている。ここは資金の豊富な牧場主が機械力を用いて、迅速に放牧地化した。彼らは資本を遊ばせておくようなことはしない。
ヤシを切り倒して放牧地を作る
牧場作り(2)

牧場は遠方まで牛を見渡せるほど使いやすい。ヤシ以外の樹木がない場所では、ヤシを切り倒してしまえば、比較的容易に牧草地ができる。牛や馬が躓かないよう、地上部をかなり残す。根株の除去は厄介な作業だからである。

切られたヤシは放置すれば朽ち果てるが、たいていその前に火で焼かれ、地獄絵図のごとくなる。
薪で走るSL
薪で走るSL

この観光鉄道は、石炭の代わりに薪を燃料として走る。薪が余剰木材の活用ならエコ列車だ。復路は大井川鉄道のように、後ろ向きに走る。
(アスンシオン、ハルディン・ボタニコ[植物園]駅)


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森林を壊すよりも壊さないほうが、(短期的にも中長期的にも、)(富める者にも貧しい者にも、)利益のあるしくみを実現しなくてはならない。

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