パンタナールの猛魚釣りにチャレンジ
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パクー pacú, caranha Piaractus mesopotamicus 55cm |
パクー 効率良く釣れるのは、水草の陰に棲むカニを生餌とした投げ込み釣り。ヤシの実、またはそれを模した団子でのフカセ釣りもいける。よく釣れるのは、40~60cmのサイズが多い。 団子は小麦粉やマンジョーカの粉を固く練って作るが、食紅のようなもので赤く染めると、幾分食いがよくなる。 先住民たちは3mほどの竹竿に太いライン、小さめのハリにヤシの実を付け、これで水面をチャポン、チャポンと叩いてパクーを呼び集めながら釣る。ヤシの実は硬いので、外皮にハリを掛けるとよい。ヤシの実が手に入らない季節には、団子を黒っぽく染めて煮たものを用いる。 パクーは、引きの猛魚。強烈な引きは、たまらなく魅力。歯が頑丈で、しばしばハリ先を曲げてしまうので、1匹釣るごとにハリ先を点検するとよい。 美味だが、Y字形の小骨に注意。内臓の処理も早めに。 Close-up |
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ピアウ boga, piau Leporinus friderici 29cm |
ピアウ 三つの黒斑と目の縁の赤いアクセントが特徴の美魚。よく釣れるのは30cm前後。中には50cm近くに成長する大物もいる。 雑食性で、練り餌、魚の切り身、ゆでトウモロコシなどでよく釣れる。 ヒットすると、よく走り、爽快な釣り味が楽しめる。合わせも容易で、大きな群に出会えば、入れ食いが楽しめる。 流れのゆるい場所に撒き餌をするとよく集まるので、お試しあれ。 開いて、玉ねぎ、トマト、ニンニク、塩胡椒にサラダオイルをかけ、炭火焼にすると美味い。下記のピアブスやクリンバタも同様。 Close-up |
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ドラード dorado, dourado Salminus maxillosus 68cm |
ドラード 黄金の魚体に黒い点線の縦縞が特徴。 現在はキャッチアンドリリースを含め捕獲禁止なので、万一釣れてしまった場合は、即刻リリースする。 Close-up |
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ピラプタンガ piraputanga Brycon microlepis 44cm |
ピラプタンガ ドラードを小ぶりにしたような色あいの魚だが、縦方向の黒い点線がない。顔つきがやさしく、口もドラドより小さい。 雑食性だが、生餌の方がよく釣れる。ドラードやパクーの外道として釣れたりもする。 ヒットすると、繰り返し軽快なジャンプを見せ、楽しく釣れる魚。 味は悪くはないが、全身にわたって無数の小骨があり、極めて食べにくい。 Close-up |
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ピアブス boga, piavuçu Leporinus macrocephalus 43cm |
ピアブス コイに似ているが、ヒゲがなく、口にはネズミのような前歯がある。 練り餌、トウモロコシ、カニの足などで釣れる。 毎日釣りたい場合は、残飯で餌付けするとよい。生命力の猛魚で、川の掃除屋さんでもある。 ピアブスは黒っぽいが、レポリヌス属のボガの仲間には、白っぽいもの、黒斑の濃いもの、目に赤いラインがあるものなどあり、種類が多い。 あまり商品価値はないようであるが、炭火焼(アサード)は結構おいしい。 Close-up |
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カリンバタ karimbata, curimbatá Prochilodus lineatus 38cm |
カリンバタ 上のピアブスやピアウなどと一緒くたにして、ボガと呼ばれることが多いようだが、カリンバタは別科である。 脂がのって、美味しい。人にあげても喜ばれる。釣り方はピアブスと同じでよい。 Close-up |
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ピンタード surubí, pintado Pseudoplatystoma coruscans 80cm |
ピンタード 黒い斑点が特徴。 ツビラ、サルディーナ、モハリータなどの小魚を生餌にする。大きなフトコロのハリを使い、ハリ先が餌の脇腹から突き出るように付ける。投げ込んだら置き竿でもよい。餌をピンタードやスルビが口に入れると、竿がズルズルと引かれる。1~2mほど引かせたところで大きくフッキングする。 一旦ハリに掛かるとまず外れない。縦横に激しく走るが、3回ほど猛烈に抵抗すると、やや大人しくなる。大物の引きの力は強いので、踏ん張りが必要。ドラッグの調整をしないと、超大物にはラインを切られる恐れもある。力と貫禄の猛魚である。 口に歯がないので、アゴを掴んでのランディングもできる。ヒレ先に注意。 ピンタードとは、「斑点がある」の意。スルビと同じ味がするグルメ魚。 Close-up |
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スルビ surubí, cachara Pseudoplatystoma fasciatum 91cm |
スルビ 虎模様が特徴。 釣り方は、上のピンタードと同様。スルビも胸ヒレと背ビレの先が硬く鋭くなっているので、うかつに触らないように注意する。縦横無尽に暴れるスルビをランディングするまでのスリルは、猛魚釣りの入門にぴったり。 小骨がなく、焼いてよし、揚げてよし、煮てよしのグルメ魚である。釣果として最も喜ばれる。 巣を見つけたら、ピンポイントで投げ込めば、2匹目、3匹目が狙える。巣の「主(ぬし)」を釣ると、ほどなく次の「主」が来るので心配ない。ピラニアが多い場所では、餌を盗られてしまうので釣りにくい。スルビやピンタードは商品価値が高く、網を使った密漁に悩まされる。 Close-up |
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マングルジュー manguruyú, jaú Paulicea luetkeni 88cm |
マングルジュー この写真のように黄色っぽい個体と、灰色調の個体がある。スルビとは体形が異なる。体は大きいが、小さな目が可愛らしく、ちょっとひょうきんな顔に見える。 狙って釣るのではなく、スルビ釣りをしていて偶然に釣れるケースがほとんど。 食べれば美味らしいが、体長1m未満はまだまだ子供だということで、即時リリースする。 Close-up |
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バルバード barbado Pinirampus pirinampu 86cm |
バルバード 大きくて長いヒゲ(バルバ)が特徴。 ハリに掛かると、エイのように川底にへばり付き、動こうとしないのでランディングに骨を折る。へばりつきの猛魚ということにしよう。 ナマズ類の中では、取り立てて美味しい方ではないが、調理法次第ではかなり美味しく食べられる。 スルビ、ピンタードの外道の一つである。 Close-up |
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ピラニア piraña, piranha Pygocentrus ternetzi 42cm |
ピラニア ずらりと並んだ三角形の鋭い歯が特徴。小魚、切り身、肉片、虫、ほか動物性の餌なら、何でも喰らいつく。金のかかるルアーは不要。ハリを外すときは、指を食い切られないよう、細心の注意を要する。長軸のハリだと外し易い。 ピラニアが多い場所では、ドラド、スルビなど、他の肉食魚を釣りにくくなるので、お邪魔魚として嫌われる。まな板の上でも噛み付くという、話題十分の危険な猛魚。実は臆病な魚だとも言われるが、だとすればなおさら危険だ。 ピラニアは種類が多いが、左の写真のようなパクー形のものは40cm超の大型にもなり、食用に持ち帰られることも多い。観光客にはスタミナ食という触れ込みで、ピラニアスープが供されるが、味の評価は人それぞれだ。刺身も脂がのっていないことから、やはり評価が分かれる。 どこにでも棲んでいて、どんな天候でも釣れる。当地でボウズとは、ピラニア以外、何も釣れなかったという意味だ。 Close-up |
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パクー・ペバ pacu-peva Myloplus levis 13cm |
パクーペバ ウチワのように平たい魚。団子を餌にパクー釣りをしていると、しばしばこのパクー・ペバに餌を盗られる。 すばしこい魚だが、一旦合わせのタイミングを掴んでしまうと、簡単に釣れる。 Close-up |
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アルマード armado, botoado Pterodoras granulosus 48cm |
アルマード 鎧(よろい)ナマズの一種。雑食性だが、練り餌やトウモロコシでよく釣れる。体側に硬い爪状の突起列を持つ。頭から背にかけて極めて硬く、出刃包丁で叩くと刃をこぼし易い。アルマードは、甲冑の猛魚としよう。 柔らかい腹を割いて内臓を取り出すと、悪臭がする。魚肉はわずかしか残らないがスープの出汁として使われている。 Close-up |
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トライラ tararina, traira Hoplias malabaricus 34cm |
トライラ いかにも貪欲そうな大きい口にギョロ目、ややグロテスクな顔つきが特徴。水際にいることが多い。 姿が見えれば、目の前に動物性の餌を垂らしてやる。間髪を入れず、喰らいついてくるのでゴボウ抜きにする。簡単に釣れすぎて、つまらないくらいだ。 Close-up |
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ドラド・カショーロ dourado-cachorro Acestrorhynchus pantaneiro 20cm |
ドラド・カショーロ カマスの金色版の趣を持ち、魚雷のようにスピーディに泳ぐ。カショーロとは、ポルトガル語で「犬」の意味。口には犬歯ばかりがズラリと並んでいる、ミニ猛魚だ。ドラードの風格はない。 川の本流よりも、入り江のような場所で釣るとよい。ピラニアの少ない場所を選び、肉片で小魚釣りをすると、たまに釣れたりする。 Close-up |
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カラアスー cara-açú Astronotus ocellatus 28cm |
カラアスー 尾ビレの付け根の蛇の目が特徴。水際をゆったりと泳いでいるのをよく目にする。 擬餌フライ、または本物のハエで簡単に釣れる。鋭い歯はないので、お子様にもお勧め。釣ったらうんと褒めて、調理してあげよう。スープも美味しいが、塩か醤油での煮付けがお奨め。 Close-up |
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コルビーナ corvina Plagioscion ternetzi 47cm |
コルビーナ イシモチに似た姿をしている。 スルビ釣りをしていて、軽い魚が当たると、コルビーナであることが多い。比較的におとなしい魚で、引き寄せると、水面を滑走するように上がって来る。リリースするにしても、キープするにしても、素早く揚げないとピラニアに喰い尽くされることがある。 炭火や焚き火で、丸焼きにして食べるのに適したサイズ。 Close-up |
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ラージャ raya, arraia Potamotrygon motoro 50cmφ |
ラージャ 淡水エイ。若いうちは尾の上部に毒針があり、極めて危険。川に慣れているはずの現地人でも裸足で川に入って刺されることがある。刺されると一週間ほど七転八倒の苦しみがあり、地元民もピラニア以上に恐れている、恐怖の猛魚。踏んだり驚かせたりしないこと。 釣りバリに掛かると、川底にへばりつくので、釣り師と我慢比べになる。エイが我慢できなくなって少しでも川底から離れたら、その瞬間に一気に引き揚げる。 食べて不味くはないが、好んで釣る人はいないようだ。 Close-up |
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ペロ・デ・ペス perro de pez, peixe cachorro Rhaphiodon vulpinus 62cm |
ペロ・デ・ペス(ドッグフィッシュ) 下あごの鋭く長い牙が特徴。上あごにはこの長い牙を収納する穴がある。 ドラード釣りの外道として釣れることが多い。 ヒットすると、銀色の体をくねらせて激しくジャンプする。その時、ドラードが川上に向かって走る傾向があるのに対して、この魚は川下に向かって行く傾向がある。 ハリをはずす時は、咬まれないよう注意する。水中では、険悪の猛魚の趣があるが、水の外ではすぐに弱ってのびてしまう。 地元民にあげても喜ばれないので、リリースする。餌と時間の損失になるので、ピラニアと並んで、あまり釣れて欲しくない魚だ。でも国外からのお客さんには、けっこう喜ばれることがある。 |
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ここからは、生餌として用いられる魚です。 |
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ツビラ morenita, tuvira Gymnotus carapo 23cm |
ツビラ スルビ、ピンタード、ドラードなどの大好物。手に入りやすいので、生餌として広く用いられる。 ピラニアが多いとたちまち食い尽くされるので、そのような場所は避ける。ピラニア釣りには、肉片や小魚の切身を使うほうが経済的。 ヌルヌルして持ちにくいが、軍手で用意に掴める。 |
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モハリータ mojarrita, sauá Tetragonopterus argenteus 10cm |
モハリータ ツビラが手に入らないとき、このモハリータは、いつでもごく容易に釣れる生餌として価値がある。流れの緩やかな場所に多く、柔らかい練り団子、柔らかい肉片で次から次へと釣れる。 釣られてからは弱りやすいので、必要な分だけ釣ればよい。生餌にするときは、背がけにする。 |
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マチェーテ machete, sardinha Triportheus nematurus 17cm |
マチェーテ モハリータと同様、釣り易く、全身が柔らかく、取り扱いやすい小魚。釣られてからの日持ちも比較的よい。 生餌にするとすぐに弱るが、ドラードやスルビ釣りにとって差し支えない。水中でキラキラと輝く、生きたシルバースプーンである。 小麦粉の練り餌でよく釣れる。 |
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パンタナールでの通称 西語通称, 葡語通称 Scientific name (学名) 被写体魚の体長 |
♥ お薦めの本:「原生林の猛魚たち」醍醐麻沙夫著 つり人社刊
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