しまったあ!...てな事にならないために
工業製品には、様々な規格や仕様があります。あるものが隣の国で安いと思って買って来たら、ご自宅で使えなくて失望することがあるかも知れません。国境を越える買い物をなさる前に、ちょっとお読みください。
家庭やオフィス用の商用電源の電圧(英: voltage ; 仏: tension)は、国や地域によって様々です。230V、220V、127V、117Vなどがあります。日本は世界でも珍しい100Vの国ですが。
127V用の機器を220Vに接続すると、壊れます。火や煙を吹き出すこともあります。逆に220V用の機器を127Vに接続した場合、まず壊れることはありませんが、正しく動作しません。
製品に定められた使用電圧が、電源電圧と異なる場合は、最も普通の手段として変圧器(英; transformer ; 仏: transformateur)を用います。変圧器にはステップアップ変圧器(例えばコンセントから127Vを受け、使用する機器に220Vを供給する)とステップダウン変圧器(例えばコンセントから220Vを受け、使用する機器に100Vを供給する)とがあります。また、ステップアップとステップダウンの兼用型もあります。兼用型では、入力側と出力側とを取り違えないようにくれぐれも注意します。入力側プラグも出力側プラグも同じ形状になっていることが多いからです。さらに、両端オスプラグの電源コードは、感電の恐れもあります。子供が決して手をふれることがないよう、配慮が必要です。
2個の白熱電球を直列に接続することによって、2倍の電圧で使えるようにする方法があります。ただし、100%ご自分の責任で行わなければなりません。第16章の照明器具の直列接続の項をご覧ください。
UPS(バッテリーを内蔵して停電時に商用電源と同様の電圧を発生させる装置)やスタビライザ(鉄の磁気飽和特性を利用した電圧安定器)には、いくつかの異なる出力電圧を持つものも多くありますので、変圧器の代わりに使うのも一案です。ただし、最大容量(VA:ボルトアンペア)に余裕が十分にある場合に限られます。
近年、ノートパソコン、ビデオデッキなど小形の電子機器には、90V位から240V位までどんな電圧でも使える仕様のものが多くなって来ました。これなら変圧器は不要です。また電源電圧が不安定な地域でも安定して動作します。
変圧器には、トランス式と半導体式とがあります。前者はずっしり重いのですが、後者は軽いので海外への渡航時には歓迎されます。しかし半導体式の変圧器はノイズ成分を多く発生するので、電子回路を組み込んだ機器には使えない場合が少なくありません。半導体式の変圧器は、大電力の暖房器具やヘアドライヤーなどの熱器具、白熱電球を使う照明器具などに向いています。
なお、半導体式変圧器として数千円の価格で商品化されている製品のほとんどは、厳密には電圧チョッパとでも呼ぶべきものです。 降圧(ステップダウン)しかできません。
電気製品には使用電源の種類が必ず表示されています。この表示を剥がしたり上書きしたりすることは禁止されています。直流電源ならDC○○V、電池のサイズと個数などが記されています。交流電源ならAC○○V、50/60 Hz のように記されます。
電源の周波数(英: frequency ; 仏: fréquence)を50または60ヘルツのいずれか一つだけに限定された製品もあります。 交流モーターによる動力装置付の製品や、リアクタ(コイルやコンデンサ素子)を使う蛍光灯や旧式の電子レンジなどです。また、タイマー付きの洗濯機や電子レンジでも使用周波数が限定されているものがあります。
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テレビ受像機、ビデオデッキ、CSデコーダなどを購入する時の注意です。
世界のテレビジョン方式(アナログ)には、大きく分けてCCIR方式(水平走査線625本/コマ、25コマ50フィールド/秒)とEIA(またはNTSC)方式(525本、30コマ60フィールド/秒)とがあります。
また映像信号と音声信号の周波数帯域によって、B,G,D,K,I,L,M,N などの区別があります。
さらに、色を乗せる(変調)仕組みによって、NTSC、PAL、SECAM の三方式があります。厄介ですね。
一番の変わり種は、フランスのテレビジョンです。SECAM-Lと呼ばれる方式ですが、何と映像信号の極性が反転し、音声信号はAM(振幅変調)です。フランスで、アフリカなどからの出稼ぎ人が、SECAM-L 専用のビデオデッキを買い、自国に持ち帰ってから使えないことを知って失望した例も数多くあります。
テレビやビデオデッキの機種の選択に当たっては、次のようなメモを用意してはいかがでしょうか?
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FMラジオのダイヤルがカバーする受信周波数帯域にも留意しましょう。
日本のFM放送の周波数帯域は、76〜90MHzですが、世界には88〜108MHzを使用している国の方が多くあります。日本でラジオを求める時は、FMバンド(76〜90MHz)とTV(1〜3Ch)バンドの両方が受信できるものを選ぶと76〜108MHzをカバーできます。ただしダイヤル表示部の幅が狭いとチューニングに苦労します。
受信周波数がデジタル表示のものならチューニングは容易ですが、値段の方も上がります。
余談ですが、76〜90MHzが受信できる日本のFMラジオ(ラジカセを含む)は、国によっては警察無線の傍受ができるため、取扱いには注意が必要です。故障しても安易に路上に捨てたりしないようにしましょう。
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白熱電球のソケットには、ねじ込み式のものと、バヨネット式のものとがあります。電球の口金のタイプとソケットのタイプとは、同じでなければなりません。電球を購入する時は、電圧とワット数だけでなく、口金のタイプにも注意します。紙箱の絵でもわかりますが、目で見れば最も確実です。
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米国性の機械や工具類には、インチ規格のものとミリ規格のものとがあります。特に中南米、カリブ海域から米国に買い物に行く計画を立てる時には覚えておいてください。1インチ=25.4mmです。
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電源プラグの電極は、日本や米国で使われる機器では平たくなっていますが、世界では丸い棒状の電極のプラグも多く使われています。しかも形や大きさが国や地域ごとに様々です。しかし、電圧に注意しさえすれば、これはあまり気にする必要はありません。短期滞在なら変換用のアダプタを持っていけばいいし、長期滞在なら現地で新しいプラグに交換してしまえばいいからです。
私個人は、プラグの変換アダプタは好きでありません。電圧の間違ったコンセントにも差し込めてしまうからです。このせいで大切な機械を壊した人の例は数知れません。私は、100〜120Vのプラグ(オス)とコンセント(メス)はすべて平型に、220〜240Vのプラグとコンセントはすべて丸棒型に統一して間違いを防いでいます。フールプルーフ(訳せば耐ドジ?)システムの一種です。
[補足]本文で127Vとしたのは、公称電圧です。現地の習慣では俗に110Vとも呼びます。また米国の公称117Vは、一般に120Vと呼ぶことも多いようです。
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「海外の不便な地で生活している方々のための家電修理のヒント」Copyright(C) 2000 Fumio Oda