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象は鼻が長い : 主題語と主格語
日本語における「主語」の概念を、いつしか私は自分なりに、ニ区分しました。 主題語 と 主格語 の二つにです。例えば、 「象は鼻が長い。」 という文では、「象」を主題語、「鼻」を主格語と呼ぶことにしました。これは、私が勝手に決めたことで、日本語の社会で一般的に認められた用語ではありません(と思います)。自分自身の頭をすっきりさせようとして考えたものです。
ところで、私が中学一年生のときの英語の教科書に、こんな一文がありました。 It is cooler in autumn than in spring. 秋は春よりも涼しい。(気象を表す it の用例) 私はこの英語の一文を、しばらくしげしげと見つめていた記憶があります。 首をかしげて、 ?... in という単語が、どうして、「 は 」という意味になるのだろう ...? と。 中学一年生の英語の知識では、単純に Autumn is cooler than spring. でいいではないか? 英語って変な言葉だなあ、なんて思いました。
この英文に出会ってから、「 は 」とは何だ?という疑問が、私の脳にはっきりとインプットされたように思います。
その後何年かして、ドイツ語やロシア語をかじるようになって、名詞の格変化を学び、辞書の見出しに出ているのは、「主格」の形だということを知りました。日本語では主格を表すのに、「 は 」や「 が 」などの助詞が使われますね。 面倒なこと、特に複雑な思考が苦手な私は、こうして日本語における「主語」という概念を、「主題語」と「主格語」とに分けて、とりあえず脳内整理をすることができました。和文英訳、和文要約などにおける、取り扱い上の便利を求めただけの整理ですが、私にはこれで十分でした。 学問上の考察がなされた整理をご希望の方は、三上章著、「象は鼻が長い」をお読みください。 ここでクイズです。次の文中の主語はどれですか? それは、主題を表す主語ですか、主格を表す主語ですか? 象さんは、あのね、母さんがすきなのよ。 ©2007 Oda Family All rights reserved. |