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象は鼻が長い : 主題語と主格語

子象
♪ 象さん、象さん、お〜鼻長いのね ♪

上の写真をクリックすると、「ぞうさん」の歌が聴けます。


日本語における「主語」の概念を、いつしか私は自分なりに、ニ区分しました。

主題語主格語

の二つにです。例えば、

「象は鼻が長い。」

という文では、「象」を主題語、「鼻」を主格語と呼ぶことにしました。これは、私が勝手に決めたことで、日本語の社会で一般的に認められた用語ではありません(と思います)。自分自身の頭をすっきりさせようとして考えたものです。

母象
♪ そ〜うよ、母さん、な〜がいのよ ♪


ところで、私が中学一年生のときの英語の教科書に、こんな一文がありました。

It is cooler in autumn than in spring.

秋は春よりも涼しい。(気象を表す it の用例)

私はこの英語の一文を、しばらくしげしげと見つめていた記憶があります。

首をかしげて、

?...  in という単語が、どうして、「」という意味になるのだろう ...? と。

中学一年生の英語の知識では、単純に

Autumn is cooler than spring.

でいいではないか? 英語って変な言葉だなあ、なんて思いました。

この英文に出会ってから、「」とは何だ?という疑問が、私の脳にはっきりとインプットされたように思います。

英語や仏語では命令法を除いて、主語がないと文にならないこともあって、和文英訳などの作業で、和文の主語と英文の主語との対応関係を考えるようになりました。英文で主題を提示するときに用いる in は、「」と訳すとぴったりした和文になることが多いことも経験しました。

しかし外国語を離れて考えると、日本語の「主語」という概念が、頭の中でなかなかすっきりとしませんでした。

その後何年かして、ドイツ語やロシア語をかじるようになって、名詞の格変化を学び、辞書の見出しに出ているのは、「主格」の形だということを知りました。日本語では主格を表すのに、「」や「」などの助詞が使われますね。

そこで私は、外国語の学習経験から、「主題」と「主格」という概念を借りて、日本語の「主語」というものを見直してみました。


面倒なこと、特に複雑な思考が苦手な私は、こうして日本語における「主語」という概念を、「主題語」と「主格語」とに分けて、とりあえず脳内整理をすることができました。和文英訳、和文要約などにおける、取り扱い上の便利を求めただけの整理ですが、私にはこれで十分でした。

学問上の考察がなされた整理をご希望の方は、三上章著、「象は鼻が長い」をお読みください。


ここでクイズです。次の文中の主語はどれですか? それは、主題を表す主語ですか、主格を表す主語ですか?

象さんは、あのね、母さんがすきなのよ。


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